札幌市厚別区の山本地区に整備された厚別山本公園には、水辺の自然が魅力のビオトープがあります。
春から夏は緑が眩しく、トンボや水鳥が飛び交うさまを観察できます。
秋には紅葉に彩られた湿地と渡り鳥の姿が見どころです。
この記事では厚別山本公園のビオトープをレビューし、美しい水辺の魅力や観察ポイント、アクセス情報を詳しくご紹介します。
目次
厚別山本公園ビオトープ徹底レビュー:水辺の魅力と観察ポイント
厚別山本公園のビオトープは、公園北西エリアに位置する人工的な湿地環境です。
埋立処分場を再生して作られたこのエリアでは、風除け林に囲まれた開放水面が広がり、草原や水辺の植物が育っています。
入り口は無料で開放されており、周囲には遊歩道やベンチが整備され、気軽に自然観察が楽しめます。
このビオトープ整備の狙いは「多様な生態系を生む」ことにあり、周囲には湿地や草地、樹林が組み込まれています。
園内の案内表示によれば、ビオトープには『防風林・外周環境林・草地・湿地・開放水面』といった多彩な環境が広がり、さまざまな生き物を支えています。
春から夏にかけては湿地の植物が茂り、エゾミソハギやノハナショウブなどの花々が見頃になります。これらの水生植物は水辺に彩りを添え、トンボやチョウを引き寄せます。
また周囲の草原にはバッタやコオロギが多く生息し、キタキツネも昆虫やカエルを目当てに訪れることがあります。実際、朝早く静かな時間帯に草むらからジャンプして虫を追いかけるキタキツネの姿が撮影されており、野生の息吹を感じられます。
ビオトープ内には木道の散策路が整備され、池のほとりまで近づくことができます。
遊歩道沿いにはベンチも設置され、疲れた体を休めつつ、ゆったりと周囲の景色を眺められます。池の水面ではマガモが泳ぎ、草むらの陰には野鳥やカエルが潜んでいることもあります。
スタッフの案内によると、マガモの群れは非常に警戒心が強いため、音を立てずゆっくり近づくと間近で観察できるとのことです 。
2023年夏には、ビオトープの小さな池でカイツブリが営巣してヒナを育てる姿も確認されており、都市部の公園で見られるとは思えない野生の光景に驚かされました。
ビオトープ整備の目的と概要
札幌市では厚別山本公園の整備において「多様な生態系を生み出す」「自然度と利用度の両立」「エコロジーな取り組み」をキーワードにしています。
この計画のもとで整備されたビオトープは、生物多様性を高めるために植生や水辺環境を意図的に設けた区域です。
広さは公園全体で約52ヘクタールに及び、その一角に位置するビオトープは敷地の大部分が湿地とされています。
公園情報によれば、ビオトープ内には防風林に加えて周辺には芝生地や哺乳類の隠れ家となる草原も整備されており、自然観察や生態系研究の場としての価値も高い場所です。
山本地区はかつて昭和58年から廃棄物埋立が行われ、平成14年(2002年)に最終埋立と覆土が完了しました。
その跡地を活用する形で緑豊かな公園を整備するプロジェクトが1980年代から進められています。ビオトープはその中核施設の一つで、自然回復や環境教育の拠点となることが期待されています。
札幌市の「環状グリーンベルト構想」では、市街地を緑で包み込む拠点としてこの公園が位置づけられ、ビオトープもその理念に沿った自然づくりが図られています。
現在、公園は造成工事の途中段階ですが、パークゴルフ場などいくつかのエリアは整備・供用されています。
ビオトープは早期から散策可能となっており、公園完成に先駆けて自然観察が楽しめる点が魅力です。将来的にはこのビオトープで野鳥の繁殖が観察できるような環境づくりも視野に入れられており、いまも進化し続けるフィールドと言えます。
湿地や草地が生んだ多様な自然
ビオトープは湧水を湛える池を中心に湿地帯が広がり、周辺部には水辺植物や水田雑草に似た草が群生しています。
春から初夏にかけてはエゾミソハギやノハナショウブ、ゼンテイカ(日光黄萓)などが順次開花し、水辺に色とりどりの花を咲かせます。
ノハナショウブは濃紫色に黄色の筋が入る美しい多年草で、曇りの日よりも晴れた日のほうがその色合いが一層際立ちます 。池の縁に咲くノハナショウブを目当てに訪れる人も多いようです。
夏にはマコモやススキなど大型の水生植物が成長し、湿地らしい生態系が形成されます。水中にはオタマジャクシが浮かび、足が生えてきた頃のニホンアマガエルの幼体も見られます。
晴れた日には水の透明度が増し、藻の陰に隠れていたオタマジャクシや小型魚が観察しやすくなります 。湿地周辺ではトンボやチョウ、バッタ類が多く、これらの昆虫を狙ってカエルや鳥もやってきます。
草地に群れるアリやコオロギの群れにキタキツネが飛びつく様子が目撃されたこともあり、公園スタッフによれば野生動物は餌を与えず静かに観察するのが鉄則です。
散策路と自然観察スポット
ビオトープには木道や遊歩道が整備されており、歩幅を気にせずゆったりと散策できます。観察スポットには望遠鏡のような機材こそありませんが、岸辺でじっと待っていれば様々な生き物が姿を見せてくれます。
特に早朝や夕方は野鳥や哺乳類の活動が活発になる時間帯です。例えば、池の中ではつがいのマガモが泳ぎ回りますが、非常に警戒心が強いので静かに近づくことが大切です 。静かに息を潜めると、つがいになったマガモを間近で観察できることがあります。
また、東端には展望ソファのようなベンチが設置され、眼下に広がる湿地と遠方の眺望を楽しめます。秋夕方の逆光に照らされる水面や、朝の霧がかった風景はビオトープならではの美しさです。
管理者からは「生き物を見つけても餌を与えたり手を出さず、遠くからやさしく見守ってほしい」と案内されています。厚別山本公園ビオトープでは、人の気配に敏感な野鳥や生き物たちを驚かせないよう、静かに観察する心遣いが求められます。
ビオトープで観察できる野鳥や生き物

このビオトープには様々な動植物が集まります。特に水辺には水鳥や野鳥が多く見られ、草原には昆虫、周辺の林には小動物が潜んでいます。主な生き物は以下の通りです:
- マガモ:晴れた日には池に数羽(5~10羽程度)の群れで飛来します。警戒心が強く、人影や足音ですぐに逃げてしまいますが、音を立てずにゆっくり近づくと間近で観察できます 。
- カイツブリ(オオバン科):希少な水鳥ですが、2023年夏にこの小さな池でヒナを育てたことが話題になりました。潜水して魚を捕食する姿や、成長したヒナを背中に乗せて泳ぐ可愛らしい親子の姿も観察できます。
- セイタカシギ:赤い細い脚が特徴的な水辺の鳥で、春~夏に3羽ほどの小群で訪れます 。水中に頭を突っ込んで昆虫を捕まえている姿が印象的です。
- ニホンアマガエル:池の周りでは樹上性のカエルが多く、オタマジャクシや成体も観察できます 。晴れた日は水中が透き通りやすく、藻に隠れているオタマジャクシが探しやすくなります。
- 昆虫:夏場はトンボ類(ヤンマ・シオカラトンボなど)やチョウ類、バッタ、コオロギ類が多く飛び交います。特に草むらにはセイタカアワダチソウを好むチョウなども訪れ、観察の楽しみを増やしています。
- キタキツネ:周辺の草原にはエゾキツネが生息しており、早朝や夕方に活動します。虫や小動物を狙って草むらから現れることがありますが、野生動物ですので餌付けは禁物です。
四季の見どころとおすすめの訪問時期
春夏の花と新緑:ビオトープ開花情報
春になると湿地の植物が芽吹き始め、初夏には花が次々に開花します。6月には黄色いリュウキンカ科のゼンテイカ(日光黄萓)が見頃を迎え、湿地全体が鮮やかな黄金色に染まります。続いて7月上旬には紫色のノハナショウブ(花菖蒲の原種)が咲き、松葉のような真っ直ぐな葉の間から鮮烈な紫の花が顔を出します 。夏半ばには鮮やかなエゾミソハギや、黄色のサワオグルマ(キク科)も咲き誇り、水辺に彩りを添えます。
同時に、トンボやチョウが活発に飛び交い、虫を求めて鳥も集まります。水中ではカエルのオタマジャクシがぴょんぴょん泳ぎ、成長してきたニホンアマガエルは湿地の縁で姿を現します 。晴れた日には水面が澄んでいるため、オタマジャクシや水生昆虫の観察に最適です。これらの観察は5月末~7月頃がピークで、ビオトープ全体が最も賑わう時期と言えます。
秋の草紅葉と渡り鳥のシーズン
秋には湿地の草が色づいて、紅葉とはまた違った美しい風景が広がります。特に9~10月頃にはススキやヨシ、ガマなどが黄金色から赤茶色に変わり、水面に反射するコントラストが見どころです。風になびくススキの穂や色づいた草に陽が当たり、穏やかな秋の光景が楽しめます。
また、この時期は渡り鳥のシーズンでもあります。水鳥は冬場に備えて南へ移動しますが、秋の短い間にもカモ類やサギなどが立ち寄ることがあります。湿地ではオナガガモやトビなどが休息している姿も見られ、季節の移ろいを感じさせてくれます。
冬のビオトープ:雪景色と訪問時の注意
冬になるとビオトープは一面雪に覆われ、池の水面も凍結します。凛とした雪景色は静寂に包まれ、夏とは全く異なる風情があります。徒歩で散策する際は、園路が積雪で滑りやすくなるため、歩きやすい靴と防寒対策が必要です。
パークゴルフ場は11月中旬まで営業し、その後はクローズしますが、ビオトープ自体は特に閉鎖されることなく見学できます。ただし降雪量が多いと遊歩道が埋まることもあるため、その場合は安全第一で無理なく散策してください。冬場は鳥類の姿は少なくなりますが、雪をまとった湿地の景色を楽しみ、冷たい空気の中で静かな時間を過ごすのもおすすめです。
アクセス・公園情報:厚別山本公園ビオトープへの行き方
厚別山本公園のビオトープへは公共交通機関と車の両方でアクセス可能です。
公共交通機関でのアクセス
最寄り駅はJR・地下鉄「新さっぽろ駅」です。新さっぽろ駅からは中央バスの山本線「白27系統」に乗り、「山本四区」停留所で下車してください。停留所から公園までは徒歩約15分です。バスは本数が限られるため、事前に時刻表を確認しておくと安心です。所要時間はバス乗車後おおよそ10分程度、徒歩を含めて新さっぽろから30〜40分ほどで到着します。
車でのアクセスと駐車場
車で行く場合、道央自動車道・札幌北ICまたは札幌東ICから国道274号線や道道36号線を経由して厚別地区方面へ向かいます。公園入口には約400台分の無料駐車場が完備されています。駐車場はパークゴルフ場横のスペースがメインで、ゴールデンウィーク明けから11月中旬までは混雑しやすいのでご注意ください。駐車場からビオトープまでは園内をウッドデッキや舗装路で移動できます。
園内設備と利用案内
厚別山本公園内にはパークゴルフ場(4コース36ホール)があり、利用料金は大人1回330円などで4月下旬から11月中旬まで営業しています。ビオトープ散策は無料でいつでも可能ですが、公園全体では冬期閉鎖となる施設もあるため公式情報を確認してください。ベンチやトイレも設置されており、子ども向け遊具や展望デッキ、冬はソリ遊びができる丘など、家族連れでも楽しめる設備が整っています。
まとめ
厚別山本公園のビオトープは、札幌市内でも屈指の自然観察スポットです。広大な池と湿地を中心に、多様な植物と生き物が共存しており、四季折々の景色を堪能できます。自然豊かな環境ながら都市近郊にありアクセスも良好です。
ビオトープはまだ発展途上のフィールドでもあり、訪れる度に新たな発見があるでしょう。子どもから大人まで楽しめる散策路や観察ポイントが随所に設けられているため、ご家族や友人と一緒に自然散策や野鳥観察をしてみてはいかがでしょうか。静かな水辺で聞こえてくる小鳥のさえずりや虫の羽音が、きっと日常を忘れさせてくれます。札幌で自然を満喫できるビオトープに、ぜひ一度足を運んでみてください。
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